「仏教行事紹介」節分、星祭り、星供養の話

節分とは年に4回ある季節の変わり目の事で、特に立春の前日である節分(2月3日)は冬から春に移り変わり、旧暦では新年を迎える1年間の節目になります。

※令和3年は124年ぶりに節分が2月2日、立春が2月3日になります

陰陽道では節分は冬と春の間、北と東の間つまり北東、艮の鬼門にあたり鬼が近づく時とされるそうです。

豆まきについては、魔を滅するのでマメを撒くとも悪鬼を退散させた霊力を豆に込めたとも言われます。

節分、立春に合わせて各地の寺社で節分祭が執り行われますが、特に密教寺院では星に祈願する星供、星供養、星祭りを行い厄除けや各祈願成就を祈念します。

古代インド天文学、古代インド占星術に基づく九曜星という考え方が根底にあり、宿曜経というお経が弘法大師空海上人によって日本に持ち込まれた事により伝わりました。

この世に生まれた時の天体を持って生まれた星として、一生変わらぬ星(本命星、元辰星、本命宿)と毎年移り変わる星(当年星)、それらを司る金輪仏頂や当年星を司る北斗七星を供養すれば、厄年や星回りの悪い年であっても災難を免れて良い年はより一層良くなるとされる、個人の一年間の幸福を祈り、災いを除く伝統儀式です。

またそれらの星々は不動明王(お不動さん)の眷属(部下)だという考えに基づきお不動さんを供養し不動護摩を焚く寺院も多くあります。

ちなみに宿曜経に基づく宿曜占星術は平安期に弘法大師空海上人によって日本に伝来した後、国家や権力者に重用され、江戸期には的中さの高さから一般に禁止された過去もあります。

星占いと言えば一般に迷信、オカルト的なものを表すかもしれないですが、星というのは天体(宇宙や自然)を表しています。

星の動きや暦は自然の動き、流れを表しています。

先に触れた宿曜経にも

「天地初めて建ち 、寒暑精化して日月と為り 、烏兎抗衡して万物を生成す 。」と冒頭にあります。

持って生まれた星(元来の性質)と毎年巡回して配当される星(今いる環境)を供養する(共に大切にする)という考え方は素敵だと思います。

また、鬼や魔や災いは外からやってくるようですが、いつの時代も結局は自分自身の内側にいて自らが招いてしまってることが多い気がします。

鬼とは外敵ではなく、心の中に住む魔。

所謂、四魔(煩悩魔、五蘊魔、死魔、天魔)

人は誰しも心に鬼を飼っています。

それと向き合って如何に過ごしていくかが大切かもしれません。

何より厄除け、開運の秘訣は不安、不信、不満、不振などの「不」を取り除くこと。

福を取り込みたければ、自らの内側、心と上手く付き合うこと。

それができれば苦労はしない気もしますが、やろうとすれば意外と難しくはない気もします。

お大師様(弘法大師空海上人)も「それ仏法遥かにあらず、心中にして即ち近し」という言葉を般若心経秘鍵に残されました。

どういう意味かと申しますと、仏様や仏様の教えというものは遥か遠くにあるものではなく、実は我々の心の中に備わっているんだと説かれています。

仏様、仏法と聞くとハードルが上がる方もおられますが、幸せは自分の中に備わっている、悩みの答えは自分の中に備わっていると考えていただいても構いません。

また、仏教の開祖であるお釈迦さま(釈尊)も「自灯明、法灯明」(自らを拠り所とし、正しい教えを拠り所としなさい)と説かれています。

この節目となる機会に改めてご自身の内側、自身の心と向き合っていただいてもいいかもしれません。

南無大師遍照金剛

合掌