「六波羅蜜(ろくはらみつ・ろっぱらみつ)」とは~大乗仏教に於ける六種類の仏道修行

六波羅蜜(ろくはらみつ・ろっぱらみつ)」とは

六波羅蜜、大乗仏教経典に説かれる六種類の修行(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)とはこの世に生かされたまま、仏の境涯に到るための六種類の修行のことを云う。
波羅蜜(はらみつ)とは彼岸(悟りの世界、真理の世界、迷いなき世界)に到ること。

布施(ふせ)……見返りを求めない施しを行い、分かち合う気持ちを持つ。

分かち合えば良いものは増え、悪いものは減る。喜びは倍に、悲しみは半分になる。

布施の対極である貪り(慳貪)、物惜しみは貧しくなる種。

持戒(じかい)……規律・規範の中に身を置き、自分を自分でコントロールする訓練を積み、判断力(智慧)を養う。

また規律や規範(ルール)は反省の為の起点、標本点、基準点。

そしてそもそもルールや決まり事とは一見窮屈なように見えて、自らの身や自分が大切にするものを守る為にある。

忍辱(にんにく)……不都合な事実、不都合な感情と向き合う。怒りや負の感情を堪える。

向き合った結果、堪えるのが厳しければその場を離れる。適切な距離を取る。

精進(しょうじん)……自分のペースでよいので弛まず前を向いて進み続ける。比べるべきは昨日の自分。

怠らず、されども張り詰めすぎない。弦楽器がよい音を奏でるように弦を調節する。

禅定(ぜんじょう)……心を散乱、放逸させない。鎮め定める。自心(自身)を冷静に観察する土壌、環境を作る。

自分自身を冷静に観察すれば、すべき事、したい事、進むべき道、答えは必ず自分の中にある。

智慧(ちえ)……修行の完成。
本来、仏の智慧は生まれながらに備わっているが、貪り、怒り、愚かさ、煩悩(迷い)故に見失っている。

仏の智慧が元来備わっているからこそ、自分自身を見つめた中に答えは必ずあり、進むべき道を自分の手綱を自分で握って進めば、負、不、迷い、無明は取り除かれ、偏ることもなく、穏やかに有意義に現世を過ごせる。
それが、仏教の開祖である釈尊(お釈迦さま)から伝わる「自灯明法灯明」の精神であり、「中道」の精神でありお釈迦さまが説かれた仏教の実践である「八正道」とも重なる。

南無大師遍照金剛

合掌