(コロナ禍プチ法話)「3密」を避けて「三密」を行う(いまこそ密教の実践を) 

「3密」を避けて「三密」を行う(いまこそ密教の実践を) 

この度、新型コロナウイルス感染症の影響により我々は想像もしていなかったような日々を過ごすことになりました。グローバル化、インバウンドと言われていたのがまるで嘘だったかのように海外渡航は禁止や制限がかけられ、学校も長期間に渡り休校、店舗や施設も閉鎖を余儀なくされました。改めて犠牲になられた方々のご冥福を祈り、ご尽力された皆様に感謝の気持ちを持ち続けたいと思います。

さて、コロナ禍に於いて皆様をはじめ世間一般に広く流布された言葉があります。すぐに思い浮かぶ方も少なくないかもしれません。

それは「3密(さんみつ)」です。連日TVや新聞等のメディアで感染予防、感染拡大防止の為に「3密(密集、密室、密接)」を避けてくださいと連日繰り返しアナウンスされてきました。インターネットユーザーや一部専門家の間では「集・近・閉(密集、接近、閉鎖空間)」を避けてくださいの方がわかりやすいと言われましたが、官公庁が「3密」を公的に用いた為、すっかり3密が世間に浸透したように思います。ですが実は「3密」という言葉が広まる以前に「さんみつ」という言葉はありました。

漢字で「三密」と書きまして、それはお大師様の著作に最初に登場します。

お大師様の書かれた即身成仏義(そくしんじょうぶつぎ)に「三密加持すれば速疾に顕わる」と有名な一節があります。

「三密」「三密加持」という言葉や概念は密教、特に真言密教、真言宗に於いて大切にされ今に伝わっています。真言密教における「三密」とは身密(しんみつ)、口密(くみつ)、意密(いみつ)の総称であり、身口意、身と口と心、行動と発言と心持ちをそれぞれ整えて仏様の境地に至った状態、近づいた状態を言います。

具体的には手に印を結び、口に真言を唱え、心を三摩地 (さんまじ)に置きます。

わかりやすく言いますと以下のようになります。

身密⇒行動を整える、良い行動、思いやりある行動をとる

口密⇒発言を整える、誠意ある発言をする、優しい言葉を使う

意密⇒心を整える、心を穏やかにする、慈悲の気持ちを持つ

コロナ禍や災害時等の難局はもちろん普段の日常生活に於いても大切なことです。

「地獄に仏」という言葉があります。ご存知の方も多いかと思います。すごく困っている時に救いの手が差し伸べられることです。まるで自分が地獄にいるかと思うくらいの困難の最中に救いの手を差し伸べてくれた方を仏様に例えています。三密行を実践すれば仏様に例えられるような救いの手を差し伸べる人間になる機会もあるでしょう。

ぜひいまこそお大師様と縁が深い皆様におかれましては真言宗に伝わる真言密教の実践である三密行を行って頂ければと思います。そうしましたらより一層お大師様や仏様を身近に感じて頂き、皆様の日常をより豊かにより善いものにしていくと確信しております。

南無大師遍照金剛 合掌